今月の読書のテーマは「節句(せっく)について知ろう」です。
日本には、季節の変わり目に神さまをお迎えし、お願いごとをする日があります。これらの日には、決まった食物を神さまにお供えしてみんなでいただいたり、お祝いのかざりつけをしたりします。それを「節句」といいます。
1100年前には「節(せち)」の日に供(そな)え物をするという意味で「節供」と書いていましたが、400年前から「節句」の表記も使われるようになりました。現在残っている節句は5つで、江戸幕府が「五節供」として定めたものです。
みなさんにもおなじみの「ひな祭り」「こどもの日」は、正式には上巳(じょうし)の節句(桃の節句・3月3日)、端午(たんご)の節句(5月5日)といいます。ほかの3つの節句のことも、本で調べてみませんか?
さて、節句の行事をしながら、「なぜこんなことをするの?」「行う意味があるの?」と思った人もいるでしょう。
それらの行事には、「幸せや豊かな恵みを祈り感謝する」「災いを除ける」という意味があります。現在では家族の幸せを願って行われることが多くなりました。ですから年中行事を知り、大切に行っていくことで家族の絆が深まります。また、風流を解する心が育ち、文化の知識や知恵・礼儀作法も身についてゆきます。
日々の生活に追われ、娯楽も増えた現代では、こういった節句の行事もおろそかになりがちです。でも、感謝や幸せを願ったお祝いの記憶が、毎年積もってゆくとしたら…。ささやかでも、きらめきに彩られた人生になってゆくと思います。
参考文献『はじめての行事えほん』小川直之監修 パイ インターナショナル 2018